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山猿

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クレーフェルトの風

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「WBA世界ミドル級タイトルマッチ」(2009年4月25日@ケーニッヒ・パラスト)
王者:フェリックス・シュトルム(ドイツ)○TKO7回2分46秒●同級14位:佐藤幸治(帝拳)

世界の壁は厚かった。
東洋無敵の日本人ミドル級ボクサーは自慢の強打を披露する瞬間すら与えてもらえず、これ以上ないほどの惨敗で初黒星。ボクシングのレベルが違いすぎた。

佐藤の強打に僅かながらの期待は持てたものの、戦前から99パーセント勝ち目はないと思っていた。しかし初回を見れば、1パーセントの勝機もなかったことが判明する。
とにかくディフェンス技術が違いすぎる。高いガードから余分な動作なく左を突く王者はパンチを「引く」軌道にもブレがない。無駄打ちは一切しないどころか、右拳での攻撃は捨ててガードに徹しているため、顔面が空く瞬間はほとんどない。相手が出てきた時には迷わずガードを固めて守備に徹する。ドイツに多い「攻防分離」スタイルながらも、とにかくガードが堅い。
一方の佐藤は圧勝続きだった東洋圏では目立つことはなかったが、今回のように体格と強打で圧力をかけ続けることができない相手と対峙するとディフェンスの悪さが浮き彫りになる。両拳は顎の近くに置いているだけで、相手のパンチに応じてブロックに使うことはない。上体の動きもまるでない。

試合では、シュトルムの左ジャブはすべて当たり、佐藤のパンチはどれも阻まれた。佐藤のパンチ、一発でもまともに当たったか?無理して見ても、右ボディを使っていた5回に一度だけワンツー、ワンツーの左右四連打の四発目の右ストレートがガードの間を抜いて浅くヒットしたくらいか。
そもそもデ・ラ・ホーヤと互角の勝負を演じたシュトルムにとって、佐藤クラスを“強打者”と感じていたかどうかも疑わしい。左ジャブを当ててはステップイン、ワンテンポ置いて返してくる挑戦者のパンチは完璧にブロック。そしてまた左ジャブ…と同じ展開が繰り返された。
7回終了まで僅かとなったところで、挑戦者陣営の田中繊大トレーナーがコーナーに上がると、ルイス・パボン主審は一方的な試合を打ち切った。ダウンシーンはなし。しかし、痛烈なKO負けよりもある意味、衝撃的な内容だった。

世界の壁は厚かった。
けれども、本物の世界戦を見た気がする。
この試合に至るまでの挑戦者の過程には一点の曇りもないし、敵地に乗り込んで世界屈指の王者に堂々と挑んだ姿勢にも好感が持てた。今後、佐藤が現役を続けるのかどうか知らないが、その決定権が本人にあることを願う。そうであれば、この惨敗にも意味があるはずだから。
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by the_leaping_hare | 2009-05-07 23:45 | Box
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