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山猿

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バーナード・ダン

「WBA世界Sバンタム級タイトルマッチ」(2009年3月21日@The O2)
王者:リカルド・コルドバ(パナマ)●TKO11回2分59秒○同級12位:バーナード・ダン(アイルランド)
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国を背負って戦場に向かった戦士そのものでした。
かっこいいぜ、バーナード・ダン!
両者合わせてダウン6度。倒し、倒されの大激闘。大逆転劇。顔面を血で染めた新王者がシャムロックを思わせるグリーンのグローブを突き上げて叫ぶ。超満員のThe O2を熱狂が包んだ。まさにアイルランドの英雄だ。
ダンの試合を初めて放送したWOWOWも「Carmina Burana」から「The Irish Rover」に続く入場シーンまで入れてくれれば言うことなかったのだが。

それにしても凄まじいまでのダンの人気。
勇敢なアイリッシュが長身・技巧派のパナマ人王者に打ち勝つというと、バリー・マクギガンがエウセビオ・ペドロサの20度目の防衛を阻んだ85年6月8日、ロンドン、ロフタス・ロードでのWBA世界フェザー級戦を抜きには語れないが、なるほど、マクギガンといい、ダンといいアイリッシュの熱狂を呼ぶボクサーには通じるものがある。

長身サウスポーの“Maestrito”コルドバはリーチにも恵まれ、肩を入れて放つ右ジャブは伸びる。フック主体のコンビネーションも滑らかに続く。対する挑戦者は左ガードが悪く、打たれることを厭わないタイプだけに序盤から被弾は多い。ただ、攻撃面ではパンチの無駄打ち、大振りがほとんどなく、コルドバのロングフックを殺す、踏み込みの潔さもある。
3回、劣勢のダンがコルドバの右ジャブの引き際に左ショートフックを合わせて先制のダウンを奪う。後方に大きく崩れたこの王者、打たれ強くはない。
しかし、4回にダンは左目上から流血して掴みかけた主導権を手放すと、5回には右フックで効かされ、2度ダウンを喫する。辛うじてこのラウンドを乗り切るが、以後も左ガードに改善は見られず、王者の左ストレートからの返しの右フックを痛打される。右目上もカットした10回にはボディでも効かされ、もはやここまでかと思われた。
そして迎えた11回、倒しにかかる王者に、ポイントでの挽回の効かない挑戦者も真っ向から打ち合う。倒すには左フックしかないと覚悟を決めたかのように踏み込み、1分50秒過ぎにそのパンチで倒す。再開直後、再び左フックでダウンを追加すると、ラストも左フック。2分59秒、信じられないような逆転劇を起こした。

あまりに打たせるため長期政権は望めない新王者のダンだが、名勝負をもたらしてくれる予感はある。打たれても退かぬ勇気がある。ダウンをしても回復は早い。少々の劣勢くらいは乗り切ってしまうファイティングスピリットを持ち合せている。
現時点で、長谷川穂積と対戦させたい選手ナンバー1に一気に浮上した。ダブリンは、今回と同じThe O2での実現を望みたい。
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by the_leaping_hare | 2009-05-26 16:34 | Box
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