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山猿

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WBP9 V9戦士

「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(09年7月14日@ワールド記念ホール)
王者:長谷川穂積(真正)○TKO1回2分28秒●同級4位:ネストール・ロチャ(米国)
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オーソドックスの相手に左ストレートを見せておいて間髪入れずに返す右フック。事実上、試合を決めた初回1分55秒過ぎの先制のダウンは、長谷川が06年3月に同じワールド記念ホールで前王者ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)を9回開始直後に倒したものと同じパターンである。
ウィラポン戦に比べると、右フックへの繋ぎが格段に速く、その軌道は小さく鋭い。そしてウィラポン戦では完全な“捨てパンチ”になっていた一発目の左ストレートもロチャの顔面を弾いている。左ストレートへの反応からして遅れていたロチャは慌てて長谷川の左の引き際に右ストレートを合わせようと御丁寧に打ち出すが、そこに右フックを叩き込まれた。これ、カウンターか。すげえタイミング。
何が起こったのかわからないという表情で挑戦者は前方に崩れ、辛うじて立ち上がった。このUSA帝拳所属(契約はGBP)の米国人ボクサー、特筆すべき武器を持たない怖さのない挑戦者だったが、KO負けの経験は一度もない。さらには初の世界挑戦。3連続序盤KO中の王者に対して、ガードを高く上げ、顎をしっかり引き、無駄打ちしないというかなり慎重なスタイルを採ったにも関わらず、3分持たなかった。

4ヶ月前、同じリングでは一度、二度…ダウンを浴びせるごとに歓声と興奮が渦巻いた。しかし再び初回KOとは。連打でダウンを追加して、レフェリーがストップ。この日、ワールド記念ホールを包んだのは熱狂よりも、驚嘆からくる静けさ。世界戦でのKO決着が醸し出すには異質な空気がその圧倒的勝利を際立たせた。とにかく強い。

王者の被弾はゼロ。開始直後から右ジャブで挑戦者のガードを叩きながらプレッシャーをかける。長谷川の左ストレートの打ち終わりに右ストレートを返す準備をしていたことを窺わせるロチャは自分からはまったく仕掛けず安全第一に戦う。右ジャブでリズムを支配した長谷川は1分50秒過ぎ、左ストレートを打ちながら踏み込み、左をダブルで重ねる。距離とタイミングを掴むにはこれで十分だったか。直後、衝撃のダウンシーンとなる。

これで長谷川は4連続KO防衛。2試合連続の初回KO。世界戦で初回KO勝ちを二度成し遂げた日本選手は初めてだ。ほぼファースト・コンタクトで試合を決めてしまうあたり、対戦相手のレベルに関係なく“KOアーティスト”と言っていい。

体重苦から階級アップを希望しながらも、取り巻く状況から現実的でないことを知る王者は、次戦で達成可能なフタ桁防衛・V10戦に挑む意欲も示している。現在、WBCバンタム級の1位はシンピウェ・ベチェカ(南アフリカ)。この再戦にはまったく興味が沸かない。バンタムで長谷川に抵抗できるのは、対抗王者およびWBC2位のサーシャ・バクティン(沖縄WR/ロシア)以外いない。
KO勝ちはもう十分見せてもらった。マシンのようなロシア人に判定勝ちする長谷川の技巧の限りを見たい、というのは、連続KOに麻痺してしまったファンの贅沢な要求でもあるのだが。
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by the_leaping_hare | 2009-07-17 16:11 | Box
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