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山猿

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WPB9 自己証明

「WBA世界ミニマム級タイトルマッチ」(09年7月14日@ワールド記念ホール)
王者:ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)○判定●同級1位:高山勝成(日本)
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ジャッジ全員が118-110。3人揃って挑戦者に与えたラウンドがないというスコアが示すように力の差がはっきり出た内容だったが、それでも好勝負だったと言いたい。
高山、よくフルラウンド戦い抜いたなあ。過去の試合後のコメント、特に新井田戦後のボクシングを冒涜する言動(とその謝罪なしにリングに戻ってきたこと)から応援する気になれない選手でしたが、暫定王座戦を潔しとせずこの挑戦に踏み切った姿勢だけでなく、気持ちの入った12ラウンズに感心した。今回は敗北後のコメントもトレーナー共々、完敗を認めるもの。そう、敗れたボクサーは、これでいい。

今年2月28日、メキシコ、オアハカでのフランシスコ・ロハス(メキシコ)との初防衛戦では胃腸炎による絶不調で、よもやの2−1判定勝ち(なぜかWOWOWでは放送中止となった)に終わったゴンサレスだが、昨年9月15日、横浜での新井田豊戦を見ているならば、高山の挑戦がどれほど無謀なものか理解できるはず。
序盤に大砲を浴びてのKO負け。必死に脚を使おうにも多彩で正確なコンビネーションに捕まってのKO負け。格下フィリピン人との試合でも毎試合カットしていた目の上の傷を切り裂かれてのTKO負け。勝利どころか、最終回まで戦うことも難しいと考えるのがまともな神経だ。

これまでKISSの「Detroit Rock City」を使っていた高山はVince DiColaの「Training Montage」で入場。何か思うところあっての採用らしいが、この曲、日本では「ロッキー4」での挿入曲というよりは「高田延彦の入場曲」としての方が有名なので、真面目な雰囲気で使うと少々違和感がある。
両選手入場後、故アレクシス・アルゲリョ氏への追悼テンカウントが行われた。

風格を漂わせてどっしり構えるロマゴンに対して、脚、手とも小手先のスピードがある高山は基本的には右回りながら、前後への出入りと反時計回りも織り交ぜた縦横無尽な動きで、サイドからのヒットを狙う。あるいはゴンサレスに空振りさせておいての打ち終わりへの連打。ハイテンポな攻防で相手の持ち味を消しにかかる。ただ、完全なヒット&ランには陥らず、連打のラストのパンチに体重を乗せて強く打つ。脚だけでは勝てないことを承知しているのか、テンポの差で相打ちを優位に持ち込む狙いも見えた。初回から両者が危険なタイミングで左フックを交換するシーンが生じた。

ゴンサレスの状態もいい。高山の動きに幻惑されることなく、左から始まる流れるようなコンビネーションは健在。右ストレートの打ち出しもシャープで伸びもある。防御勘が特別優れているわけではない高山は初回からこの右に苦しめられた。

しかしこれは本当に同一階級の試合か。とにかくパワー差がありすぎた。このところ続いていた比国人とのチューンナップバウトとは比べものにならないほど高山はスピードもキレもあるが、打撃戦でまったく歯が立たない。距離を詰めて左右連打を2セットほど飛ばしても、そこで飛んでくるゴンサレスの一発のパンチにポイントを持っていかれる。極論すれば、ゴンサレスのミスブローには高山の連打を相殺する以上のインパクトがある。

体重苦も伝えられるゴンサレスは5回には口が開き、打ち終わりに上体が流れるようになったが、ロングでのパンチの正確性は失われない。高山は果敢にボディ攻めを敢行し、一定の効果を上げるが、倒し切るには至らない。逆に左フックの上下ダブル、右ストレート、右アッパーとあまりに多彩なパンチにガードも機能しない。ラウンド終了後には毎回、ガッツポーズをして健在ぶりをアピールしていたが、3回に初めて自らクリンチにいき、6回には右フックを浴びて懸念された左目上から大流血するなど劣勢は疑いのないところだった。

終盤は一方的に打たれる場面もあり、高山の顔面の耐久力は驚異的だったが、世界戦でなければおそらく止められていただろう。流血も顔の腫れも目立っていたが、グローブがメキシコ製でなかったことは救いだった。しかし高山は最終回まで堂々と怪物王者に向かっていった。あれほどクリンチに頼る高山の姿を初めて見た。劣勢の中、ボディ攻撃で会場を沸かせた。倒される覚悟で放つ左フックの相打ちがまったく通じないのであれば、勝つための手段は何が残る。すべてを出し尽くしての完敗であり、恥じるべき敗戦ではない。地上波でフルラウンド流してほしい試合だった。

というわけで、今回の日テレの中継は最悪。二元中継する意味がどこにあるのだろう。センスのなさをわざわざ露呈しているだけで、「The REAL」というサブタイトルからは程遠い内容だった。
また、神戸の興行では、WBCバンタム級戦の後にWBAミニマム級戦が行われたが、これはさすがに長谷川に失礼では。さらにWBCバンタム級戦の審判団に挑戦者の母国である米国から3人派遣されたりと納得しかねる点が多々あった。
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by the_leaping_hare | 2009-07-18 23:59 | Box
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