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山猿

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WOW FES!HOMECOMING 粉砕のV3

「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(2009年10月10日@国立代々木競技場第二体育館)
王者:西岡利晃(帝拳)○TKO3回終了●同級5位:イバン・エルナンデス(メキシコ)
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唐突な幕切れに「ナンジャこりゃ」とも思ったものだが、冷静に考えてみると実に凄みのあるKO勝利だ。

試合終了後に微妙な空気に包まれたのは、直前のリナレス陥落の衝撃がまだ残っていたうえに、西岡がほとんど喜びを示さなかったことも無関係ではなかろう。
あとは2回に顎を砕かれながらも最終回まで戦い抜いた坂田健史や割れた顎から流れる血を吐き出しながら絶叫して向かっていった戸高秀樹のような姿を世界戦を戦うボクサーに重ねてしまう国民性からか。そういえば、選手の危機管理がしっかりしているとされるメキシコにも仲里繁に顎を折られながら最終回まで戦い抜いて判定勝ちしたオスカル・ラリオスなんてのもいたななんてことまで思い出してしまった。

高度な技術に裏付けされた狙いすましたカウンター一発で相手の顎を砕き、ギブアップに追い込む。試合そのものは、偶然性の欠片も見当たらない完勝であり、そのインパクトは並のKO決着どころではない。

挑戦者がトラブルを負ったシーンははっきりしている。3回2分ジャストの攻防。西岡は挑戦者の右フックを鼻先で外しながら左カウンター。最小限のボディワークと同時に行われる体重移動。挑戦者の右側下顎をピンポイントで捕らえた完璧なカウンターだ。威勢の良かった挑戦者はこれで急変。以後、試合終了までの1分間、1発の右パンチも出さず、右拳を顎にくっつけて守りに徹した。

急なランクインなど実力に疑問が囁かれたエルナンデスだが、別にイージーな相手ではない。無駄打ちも含めて手数は多く、攻撃のテンポは速い。パンチの角度は多彩で、しかも動きながら打てる。Sフライ級での試合とはいえ、04年9月25日にはマーク・ジョンソンを乱打KOしてWBO王座に就いており、サウスポーへの対応も悪くない。

しかし、西岡の相手ではなかった。
初回から右サイドへ鋭く回り込み、左ストレートを上下に散らす。2回に偶然のバッティングで1点の減点を科せされても影響されることなく、早々とパンチを見切ると、一撃で勝負を決めた。
天性のものを持った選手でもあるにも関わらず、それだけに頼らず、基本に立ち返った丁寧な組み立てが光る。高い右ガード、上下の打ち分け、必要最小限のバックステップと距離掌握などを意識的にやっていることが安定した戦いぶりの根底となっている。それでいて反則級の決定力。33歳、今が円熟期か。

しかしリナレスではなく、西岡の試合を日本で観ることができなくなるかもしれないとは誰が思った。ラファエル・マルケスでもイスラエル・バスケスでもいい。V4戦、ラスベガス開催を期待したい。

個人的には今回のWOWOWの中継は悪くなかった。ハナから「ダブル世界タイトルマッチ」と謳っているわけだし、無料放送ということも考えれば細野-榎の東洋戦の生中継などなくていい。マニア向けに再放送枠でフルラウンド放送するというフォローもしているわけだから。ゲストの人選も適切だし、WOWOWの一大イベントの主要部分にボクシングがあることに安心する。

重苦しかった雰囲気も最後には「ボラ公園」が吹き飛ばしてくれました。あと、ジョニゴン戦では単なる間違いかと思ったのですが、ホームタウンが「アマガサキ」とコールされるのは西岡選手本人の希望なのでしょうか。
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by the_leaping_hare | 2009-10-17 16:27 | Box
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