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山猿

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有明の孫悟空

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「WBC世界ミニマム級タイトルマッチ」(2010年3月27日@有明コロシアム)
王者:オーレドン・シッサマーチャイ(タイ)○判定●同級4位:黒木健孝(ヤマグチ土浦)

試合後半に減点、ダウンの飛び交った試合のスコアを個人的に集計してみると113対112で王者の勝利だった。公式ジャッジの採点でも1、1、2差と似たようなもので、こう見ると実に惜しい気がするのだが、試合全体を通じた印象としては敗者本人が語っている「もっと差があると思った」というものに近い。
前半をほぼ一方的に支配された黒木としては、惜しむらくはあと2ポイントどこかで取れなかったのかではなく、最終回に左ストレートをジャストミートしたKOチャンスを逃したことだと思う。

ともにサウスポーながら、正攻法VS変則派の戦い。上体を左にを折ることで相手の右パンチを外しながら、その引き際に左ストレートを合わせることに長けた王者に対し、世界初挑戦の黒木はカウンター封じとして空間を潰しにかかる。パンチを打ちながら、強引にステップインというスタイルは初回から一貫しており、挑戦者らしいアグレッシブさも兼ねていたが、パンチの振りは大きく、精度も悪い。踏ん張りを効かすために左右のスタンスを広く取った構えは王者の小さなステップへの対応に遅れをとり、入り際に右ジャブを当てられるとややバランスを崩すという欠点も浮かぶ。
中間採点では大きくリードを許し、ワンサイドで終わってしまいそうな展開にありながら、決して前進を止めず、王者を乱戦に巻き込んだところに挑戦者の見せ場もあった。7回に右フックを当てて初めてはっきりとポイントを奪うと、流れが変わる。8回にバッティングで挑戦者、10回はホールディングで王者にそれぞれ減点1が科せられ、11回には王者がスリップ気味の不運なダウン。最終回に黒木が左ストレートで王者の腰を落としたが、猛追もここまで。前半の大量失点を挽回するには至らなかった。
終盤、解説の鬼塚勝也氏は、ポイントではもう勝てないので倒されてもいいから行け、というようなことを言っていたが、亀田の試合でもこれくらいはっきり言ってくれればいいのに。

実績のない地方ジム所属の黒木は、結果を残すことで説得力のある挑戦者へと上り詰めた。その実力、意地は示した試合だったように思う。世界戦を実現させるために縁もゆかりもなさそうな宮田ジムの興行で、空席だらけの有明コロシアムで、亀田の“前座”に登場。亀田VSポンサクレック戦や内藤再起の話題に隠れて試合前の報道はほとんどなし。放映権を持つ悪徳TBSは、亀田の前座にK−1を用意したが、オーレドンVS黒木は結果すら知らせぬ完全無視の有様。ボクシングファン以外でこの世界戦、そして黒木の存在を知った人がどれほどいただろうか。試合は後日、ボクシングファンでさえ契約を躊躇うTBSの有料チャンネル「TBSチャンネル」で放送。理解していながらもいまいち釈然としない日本におけるボクシングの置かれた現実を見たような気がする。
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by the_leaping_hare | 2010-04-26 23:48 | Box
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