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山猿

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再戦、決着、陥落

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「WBA世界Sフライ級タイトルマッチ」(2010年5月8日@大阪府立体育会館第一競技場)
王者:名城信男(六島)●判定 ○同級1位:ウーゴ・カサレス(メキシコ)

会場でのおれの採点は113対115でカサレスだったが、「117対111」というスコアが読み上げられた時にも驚きはなかった。この試合、少なくとも名城の勝ちはない。

昨年9月30日、階下の小ホール「第二競技場」で行われた初戦では三者三様のドロー。後半に追い上げ、最終回には事実上のダウンを奪った名城とすればダイレクトリマッチにも弱気になる要素はない。
一般に再戦ではファイターよりもボクサーが有利とされる。手の内を知った中で、とにかく前に出るファイターと比べ、幅のある戦術で対応できるからだ。そういった意味では多彩なスタイルに加えて、スイッチヒッターという特性を持ち合せているカサレスに分があるのだが、それぞれの構えで打てるパンチの種類と欠点、スタミナの底など初戦において何もかも出し尽くしたように思えた。ファイター名城とすれば戦略を突き詰めることで攻め落とせる。ボクシングの幅では後れをとっても、戦略と成長が勝負を決めるとの考えから名城有利と見ていた。
前回に続いて両選手の当日のウェイトが公表された。名城が56.5キロ、カサレスが58.2キロ。前日13時の公式計量は共に52.1キロのリミットでクリア。

正面から圧力をかけて強打で襲いかかり、スタミナを削ぎ取る。狙いは悪くない。しかし、あまりに正直過ぎた。
初回にワンツーをヒット、2回には相手の右目尻をカットするなど上々の立ち上がりを見せた名城に対し、カサレスは本来の右構えではなく“ごまかし”の度合いの強いサウスポーで大半を戦うことを選択する。前戦でのカサレスは左構えからは体の流れるワンツーを飛ばすだけで有効な攻撃ができていなかったが、修正してきた。強振せず、左、右、左の3連発など繋ぎの速い連打を披露。また、出されると厄介な名城の左ジャブを打ち難くするにも左構えの方が適している。中間距離で手を出さず見ている時間の長い王者に、先手を取ることに主眼を置いたテンポの速い攻撃。前回、光った左アッパーはまたも効力を発揮し、加えて左フックも良く当たった。右フックは相手の左ジャブを封じることに一役買った。
スタミナの勝負になる前にスタイルの勝負で決着は付いた。勝てなかった初戦からの研究と変化、そして進化。再戦を制したのはカサレスだった。

8回序盤など、望むノンストップの打ち合いも幾度か展開されたものの、ポジショニングと一発目の打ち出しのタイミングで後手を踏む名城は打ち勝てない。同じパンチを繰り返し貰うことも印象が悪く、10回には左フックで効かされて決定的な失点。並のボクサーなら倒されていたであろうピンチを耐え抜くタフネスには驚くしかないが、こうも毎試合打たれていてはダメージの蓄積が心配。小細工なしの愚直なスタイルは共感も呼ぶが。

テレビは02年11月26日、大阪市中央体育館での「WBC世界フライ級戦」ポンサクレックVS本田秀伸戦以来の世界戦制作となるテレビ大阪。19時45分開始、75分枠。
名城の入場シーンから始まり、フルラウンド、勝利者インタビュー、試合の総括まで収めた生中継。元WBC世界Sフライ級王者・徳山昌守氏の中立かつ的確な解説。欲を言えば、あと10分長くしてカサレスの入場シーンと両国国歌吹奏があればというところだが、ボクシングファンには安心して見ることのできる中継だった。7年半のブランクがあるからこういったクラシックな中継になったと言えなくもないが、近年、今回のような“まともな”ボクシング番組に触れる機会が少ない。6.2パーセントという視聴率は過剰な期待はしていなかったにしても物足りない数字だろうが、是非ともまたボクシングを放送してほしい。
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by the_leaping_hare | 2010-05-10 23:59 | Box
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