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山猿

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ボックス!

「ボックス!」(2010年・日本)
監督:李闘士男 脚本:鈴木謙一 原作:百田尚樹
出演:市原隼人、高良健吾
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市原隼人って亀田の試合のリングアナとかやってる奴だろ。好きになれんよねえ…なんて思ってたら亀田興毅が出演していた。台詞あり、クレジットあり。ちょっと笑ってしまった。

「探偵ナイトスクープ」などを手がける放送作家による原作本は刊行当時に知り合いから貰った。ボクシング小説ということで読み始めたところ、おもしろくて一気に読んだ。印象としては松本大洋の名作「ピンポン」の高校ボクシング版。
つまり、映画でいえば、ペコが市原隼人、スマイルが高良健吾、バタフライジョーが筧利夫となる。大阪の高校を舞台にした小説「BOX!」が何より良かったのは、著者の高校ボクシングへの愛が感じられることだ。

さて、映画化するにあたって、何が一番大切か。
言うまでもない。ボクシング映画なのでボクシングシーンがかっこいいかどうかに尽きる(実写版「あしたのジョー」は大いに不安)。
その点では市原は健闘している。「キッズ・リターン」の安藤政信の域には及ばなくとも最低限のリアリティと形式美を築いている。だからこそ試合のシーンでの不要なカット割りやスローモーションの多用が鬱陶しい。あと、クライマックスでのフィニッシュブローはふざけているのか。あんなパンチじゃボクサーは倒れんよ。
一方の高良のシャドウも悪くない。ただ、問題は高良が演じる人物は物語の始まりと終わりで外見も内面も激変していないといけないのにそれがまったくない。特別弱くも見えなければ、底知れぬ強さも伝わってこない。

もちろん、TBSの映画なので少なからず事実の捩じ曲げがある。「秋の選抜大会」とか高校ボクシングのカレンダーが無茶苦茶に書き変えられていたり、グローブやヘッドギアが公式のものではないなど細かい点を挙げたらキリがない。原作が大切にしている世界を平気で歪めるところがいつものことながら気にくわない。
あと、これは間違いではないのだけど、今年からアマチュアボクシングの主要大会ではフェザー級という階級は廃止となった。

原作通りに登場人物を並べてみたところで、残念ながら女性キャストは活きていない。女子マネ役の谷村美月は大阪出身ということもあり物語に溶け込んでいてうまいのだが、闘病のエピソードはほとんどマイナスにしか機能していない。ボクシング部顧問でもある女性教師役の香椎由宇は原作では重要な役だったが、映画においては存在意義なし。唯一、主人公の母親、お好み焼き店の女将を演じた宝生舞だけが大阪のおばはん役がやけにハマっていた。

いろいろと文句を連ねてみましたが、それでもこの映画は嫌いではありません。もう一度観に行くことはなくても、一度は楽しめた。それはおれがボクシングファンだからであり、そして「BOX!」にはボクシングファンとは異なる層にも訴えるものがあると思うからだ。
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by the_leaping_hare | 2010-05-29 05:35 | Movie
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