ブログトップ

山猿

cdghare.exblog.jp

해안포병의 노래

e0042386_22364068.jpg
「WBA世界Sバンタム級タイトルマッチ」(2010年10月2日@後楽園ホール)
王者:プーンサワット・クラティンデーンジム(タイ)●判定○同級14位:李冽理(横浜光)

CS放送とはいえ「海岸砲兵の歌」による入場シーンが日本で流れるのは初めてでは?徳山昌守氏の世界戦は何度か会場で観戦しているのでこの曲に聴き憶えはあるのだが、徳山氏の世界戦では中継局に関係なく、入場シーンやセレモニーはほとんど放送されていないはず。今回、会場には日の丸が掲揚され、タイ国歌に続いて「君が代」が流れた。

00年8月27日、府立第一での「WBC世界Sフライ級戦」。王者・曺仁柱(韓国)に同級4位・徳山昌守(金沢/北朝鮮)が挑んだ会場では両国国旗、国歌斉唱はなく、それらに代わって朝鮮半島旗、「われらの願い」が持ち込まれた。テレビ中継の予定もなく(後日、WOWOWが緊急放送)、異質な雰囲気で行われた世界戦だった。

10年が経過し、在日コリアンを公言した2人目の世界王者が誕生した。
取り巻く環境は変わってきたところもあるだろうが、絶対的不利の予想、一切ぶれることなく自らのボクシングをフルランド貫き通した王座奪取に10年前の徳山の姿が重なる。李冽理、見事なる戴冠。ビッグアップセット。

おれの採点では114対114のドローだったが、これはちょっとプーンサワットのアグレッシブにポイントを振り過ぎた。というのも、試合前に流れた日本王座戦2試合のダイジェストで李の試合を初めて見たが、勝手に想像していた徳山のようなスピード、キレはなく、ましてや経験のない1階級下げての世界挑戦。これは無理だ、すぐに捕まると決めてかかった。しかし、この試合、レフェリーに浅尾和信氏(日本)、ジャッジにピニット・プラヤドサブ氏(タイ)と当事国が絡む変な構成だった。

ぐいぐいとプレッシャーをかける王者に対し、初回は守勢。時計回りを基本に、リングを大きく使って距離を取るが、時折、ロープやコーナーを背負う。追い込まれてからのディフェンス、エスケープは巧みだったが、捕まるのも時間の問題だという思いは変わらなかった。

李がすばらしかったのは、スタミナ無視で序盤から勝負をかける、無理にでも前に出て打ち合うなど、日本において“挑戦者のセオリー”といわれるものを完全に捨てて自らのボクシングとジャッジを信じ切ったこと。平然とロープ、コーナーを背負い、カウンターを取り続ける。本来フェザー級ながらも、バンタム級上がりの王者とのパワー勝負は避けて、リーチ差だけが活きる展開に持ち込む冷静さ。平坦なラウンドを重ねることで、42戦のキャリアを持つ2階級王者の乱れを誘った。

5回にはプーンサワットがパンチで左目上から出血。この辺りから流れが変わってくる。王者は前に出てはいるが、ラウンドが進むに連れて手数、的中率が落ちた。予備検診、計量時の体温、脈拍数値に表れていたようにコンディションも良くなかったのだろう。プレスの迫力、スタミナもいつもほど感じなかった。
対して李は軽いながらもジャブの的中率を高め、プーンサワットの左ショートフックのインサイドを射抜くシャープな右カウンターを入れる。間が生じると、左右のアッパーを放つことで、王者の攻撃をより単調なものにした。序盤から左目上は腫れていたが、これも大きなトラブルには発展せず。タイ国のジャッジまでが李の勝利を支持する完勝を演じた。
[PR]
by the_leaping_hare | 2010-10-03 22:39 | Box
<< 新チャンピオン 横浜ベイ >>