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山猿

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悪人

「悪人」(2010年・日本)
監督:李相日 原作:吉田修一 脚本:吉田修一、李相日 出演:妻夫木聡、深津絵里

原作未読で観たのですが、重くて見応えのある映画でした。
舞台となる福岡、佐賀、長崎の距離感がいい。博多、久留米、佐賀、長崎の関連性とそこで生活する人間の序列。地方都市のどうにもならない閉塞感が絶妙に描かれている。点在する街を繋ぐのは電車ではなく、スカイラインGTRに三瀬峠に呼子のいか。一見、日本のどこにでもありそうな風景ながら、登場人物の抱く可能性と諦観は九州のこの地域特有のリアリティがある。
社会の中心から外れた登場人物に、現代日本の閉塞感を重ねる。登場人物の境遇、殺人や逃亡といったテーマは、李相日監督の初期作品「BORDER LINE」を思い起こさせる。

通える距離なのに久留米の実家を出て博多にある会社の寮に住む保険外交員。長崎の漁村で祖父母の介護をしながら暮らす解体工。生まれ故郷の佐賀から一歩も出ることのない生活を当然と受け入れてきた紳士服のフタタの女性店員。愛情を注いで育てた一人娘を無惨に殺された久留米の床屋の親父。実家が由布院の旅館で福岡の私大に通うボンボン。
三瀬峠での殺人事件を通じて交錯する登場人物に完全な「悪人」はいなくても、誰もが「悪人」である側面を見せる。ある者は自らの枠組から抜け出そうとして「悪人」になり、ある者は長年かけて築いた自らの枠組を壊された瞬間に「悪人」となる。これは特殊な物語ではなく、日常の出来事ということ。

少々長いのが難点。
深津絵里がモントリオールで主演女優賞を獲ったことで話題になったが、妻夫木と満島ひかりは同等以上に評価されていい好演だと思った。
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by the_leaping_hare | 2010-10-08 23:59 | Movie
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