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山猿

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パックマン6階級制覇

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「WBC世界Sウェルター級王座決定戦」(2010年11月13日@カウボーイズ・スタジアム)
WBO世界ウェルター級王者:マニー・パッキャオ(比国)○判定●同級1位:アントニオ・マルガリート(メキシコ)

最終回のパッキャオは対戦相手に敬意を払い、敢えて倒しにいかなかったように思えた。“Pac Man”パッキャオが“El Tornado de Tijuana”マルガリートを大差判定で下し、オスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)に次ぐ史上2人目の6階級制覇を達成。

途中、パックマンはボディを効かされて2度ほどピンチに陥ったが、相手の主戦場である打撃戦に応じてこの窮地を正面突破で切り抜ける。10回2分40秒、右フックのカウンターでマルガリートを大きくふらつかせた後の11回、軽いパンチを叩き込み、レフェリーに目線を送り、ストップを促す。ここでTKOを宣告していても、この試合が好試合だったことに変わりない。
“Boxing is not for you know killing each other.”
試合後のリングでこう語った勝者。強者の貫禄とボクシングへのリスペクト。見事な勝利で大記録を打ち立てた。

観衆4万1734人。解説のジョーさんによると、ファイトマネーはパッキャオが2500〜2700万ドル(最低保証1500万+PPV1000〜1200万)、マルガリートが900万ドル(最低保証300万+PPV600万)。
パッキャオが負けるとすれば「コット×マルガリート戦」のコットのパターン、つまり前半優勢に進めるも倒し切れず、マルガリートのタフネスと圧力に屈して乱戦に巻き込まれた末に終盤に沈むという形しかないだろう。しかしコット戦後、モズリーにダウンを奪われてTKO負けしたマルガリートに当時の耐久力があるとは考え難い。パッキャオのデキが余程悪くない限り、一方的に押し切ると思っていた。

5回まではその流れ。確かに、パッキャオとマルガリートには“階級差”が存在した。これは一般に言われる「階級差=パワー差」ではなく、文字通りの「体格差=身長差」。パッキャオはうまい具合にボディも打っていたが、顔面へのパンチ、特に左ストレートはベストの角度と差異が生じる。
それでもかなりのパンチを叩き込んでいたパッキャオ。やはりマルガリートが打たれ強い。この後、さらに驚くことになるのだが、コット戦どころの話ではない。完全に人間離れしたタフネスだった。

右頬を切り、右目は潰れ、大ダメージを負いながらも倒れないマルガリート。6、8回には左ボディからパッキャオを追い込む。しかし打ち勝てない。スピード差が歴然で、しかも動かれる。攻撃の起点が被弾と引き換えの接近時でのボディショットしかない展開では無理もない。
09年1月24日、シェーン・モズリー(米国)の挑戦を受けたステープルズ・センターでの「WBA世界ウェルター級戦」におけるバンテージ不正事件でカリフォルニア州コミッションから1年間のサスペンドを科せられた。復帰後は胸部に和彫りのような刺青を纏い、完全に悪役となってしまったが、リングでは文句なしに勇敢だった。

キャッチウェイトであった点など文句をつけどころがないわけではないが、デ・ラ・ホーヤの6階級達成時よりも感激した。すばらしい試合でした。
by the_leaping_hare | 2010-11-15 02:16 | Box
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