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山猿

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山Pジョー

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「あしたのジョー」(2011年・日本)
原作:高森朝雄、ちばてつや 監督:曽利文彦 脚本:篠﨑絵里子 出演:山下智久、伊勢谷友介、香里奈、香川照之

「あしたのジョー」の実写版など作るべからず、という前提の下、作っちゃったものとしては合格点でした。

頭の悪い脚本は女性目線でよろしくないが、(香里奈を除く)主要キャストの熱演と偉大なる原作の永遠に失せない魅力がボクシング映画としての魂を吹き込んだ。
ジョーと力石の因縁を余計な説明なく際立たせた伊勢谷力石の壮絶な減量、ギャグのような特殊メイクを施した丹下段平を違和感なく成立させた香川照之の力技は申し分ない。そして意外と良かったのが山Pジョー。矢吹丈というには愛嬌が足りないが、眼差しに宿る「陰」がなかなか良い。ボクシングのフォームは少し前傾過ぎるが、しっかり肉体を作り、まさしく入魂の演技だ。
一方で良くないのが香里奈の白木葉子。これはミスキャストというよりは脚本のミス。原作とまったく異なる設定で登場し、演じれば演じるほど本来の白木葉子から乖離していく。葉子に感情移入していくのは原作のラスト、日本武道館でのホセ・メンドーサ戦であって、力石戦後までしか描かれない今回の映画ではキャラ付けする必要はない。原作を捩じ曲げてまで挿入した葉子の幼少時のエピソードはまったく不要。それとも、続編を作る前提なのか?それならそれで、とんでもない方向に進んでしまいそうだが。

ボクシングシーンは原作そのものというか漫画風とでも言おうか。カット割りとスローモーションが多用される。役者の肉体改造も含めてリアリティを強調するのなら、もっと普通にボクシングを見せてほしい。
ただ、全体を通してボクシングマニアとしては不満よりも共感できる部分が多い。グローブも「ウイニング」のクラシックモデルが再現されていたことに安心した。ただ、6オンスにしてはデカ過ぎる。
細かい部分で注文を付ければ、力石戦の会場・後楽園ホール。これは「Think Spot KAWASAKI」でのセット。ここに後楽園ホールを再現したのだが、我々のようなマニアにはやはり聖地・後楽園ホールとは空気が違うことが一瞬にして分かる。なぜ後楽園ホールで撮影できなかったのだろう。さらに控室通路(これは味スタで撮影かな?)も、後楽園とは全然違うので違和感を覚えた。一方で、泪橋と丹下ジムのセットには味がある。

主題歌は人間活動に専念中の宇多田ヒカルさん。なぜかボクシング映画ではインパクトを残すモロ師岡がドヤ街の食堂のおやじ役で出演。夫婦役の西田尚美と好演しています。
ボクシング関係者も多数出演しており、主なところではジョーのデビュー戦の相手・村瀬武夫に元WBA世界Sバンタム級王者・佐藤修こと蓮ハルク。力石が挑む世界ランカー・レオに東洋太平洋&日本Sウェルター級王者・チャーリー太田(八王子中屋)。力石vsレオ戦のレフェリーに元WBA世界Sフライ級王者・飯田覚士氏。ウルフ金串vs矢吹丈戦の解説者に浜田剛史氏といったところ。浜さんが「トリプルクロスカウンター」を真面目に解説するあたりは笑ってしまったのだが、浜さんの存在を知らない観客もかなりいるようで無反応でしたな。

公開初日の朝イチ9時開演の回に観たが、客層は団塊の世代からジャニーズ目当てまで幅広かった。まったく接点のなかった層を「あしたのジョー」と「ボクシング」に向けた功績は少なくとも讃えていいと思う。
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by the_leaping_hare | 2011-02-13 23:59 | Movie
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