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山猿

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いらっしゃいませ。そして,永遠にさようなら。

e0042386_1471139.jpg『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007 米国)
舞台は19世紀のロンドン。フリート街で,美しい妻と娘とともに,平凡で幸せな日々を送っていた理髪師ベンジャミン・バーカーは,悪徳判事・タービンの奸計により,無実の罪を着せられ,家族と離ればなれに。15年後,脱獄したバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え,フリート街に舞い戻る。「復讐」の思いをその手に握りしめた剃刀に込めて…

スティーブン・ソンドハイムによるブロードウェイ・ミュージカル『スウィーニー・トッド』をスクリーン化。97年にジョン・シュレシンジャーによっても映画化されていますが,ティム・バートンとジョニー・デップのコンビならではの禍々しい世界観はやはり別ものです。それは今作がミュージカル映画であるからということとは関係ありません。愛がもたらす奇跡に期待した次の瞬間には銀の剃刀で一刀両断されてしまいます。
物語の奇特性よりも,復讐や偏愛といったものに取り憑かれた人間が大切な何かを失っていく様に焦点を注ぎ,実に見事に描いています。

ストーリーの最も衝撃的な部分,つまりは『八仙飯店之人肉饅頭』であることは,オープニングで示されております。ひとつ忠告しておくなら,デートで観るのは避けた方がいい。単なるゴシック・ファンタジーじゃすまないのよ,この映画は。ジョニー・デップはアンソニー・ウォンと違って気品があるけど,それでも見終わった後は飯が食えなくなる。

彩度を落とした現像とCGによる映像がすばらしい。薄暗く,胡散臭い街並みには,奇怪な事件が当然のように起こるという空気を漂わせています。総じて破滅を迎える中で,その行く末を描かれなかった登場人物がいることに,この作品のやさしさと救いを感じました。
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by the_leaping_hare | 2008-02-14 05:06 | Movie
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