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山猿

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子猫の涙

e0042386_21563592.jpg『子猫の涙』(2007日本)

メキシコ五輪のボクシング・バンタム級銅メダリストの森岡栄治の人生を,名画座・中野光座を舞台にした『クラヤミノレクイエム』で映画監督デビューした甥の森岡利行が描いた作品。

過去,日本が五輪ボクシングで獲得したメダルは3個。田辺清(ローマ・銅・フライ級),桜井孝雄(東京・金・バンタム級),そして森岡。日本アマチュアボクシング界の現状を考えれば,この先,メダルを獲得できるとは到底思えないため,森岡のことは“最後のメダリスト”と呼んで構わないだろう。
メダリストは,3人とも後にプロ転向している。田辺は67年2月20日に世界フライ級王者オラシオ・アカバロ(アルゼンチン)にノンタイトル戦で6回TKO勝ちし,タイトルを賭けて再戦することが決まった直後,網膜剥離が発覚して引退。桜井は68年7月2日に日本武道館で世界バンタム級王者ライオネル・ローズ(豪州)に挑み,2回にダウンを奪うもその後の安全運転が災いして15回判定負け。世界には一歩届かなかったが,両者がプロでも一線級で活躍したのに対し,大成しなかったのが森岡だ。また,唯一の故人でもある。
映画では森岡栄治ってこんな無茶苦茶な人だったのというほど,近大在学中に獲得したメダルは過去の栄光として,その後の転落人生に焦点を当ててコミカルに描く。物語の語り部は,父の栄光を記録でしか知らない娘(幼少時:藤本七海,成人時:宝生舞)が務める。浮気をどうしてもやめられないためパイプカットをしたことなど監督が実の甥だから済まされるものの,赤の他人が撮っていたら名誉毀損で訴えられてもおかしくないエピソードが平然と出てくるが,結局は愛すべきダメ親父ものだ。
主人公に武田真治,主人公の後妻となる気の強いホステスを広末涼子。全編,大阪弁。赤井英和が刑事役で出演するなど関西のボクシングファンはとりあえずチェックしておきたい。森岡栄治氏が設立し,登場人物の一人にもなっている長男の森岡和則会長が継承した兵庫県川西市の「森岡ボクシングジム」でもロケが行われている。
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by the_leaping_hare | 2008-02-20 23:32 | Movie
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