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山猿

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KAMIKAZE

KAMIKAZE_e0042386_22475667.jpg「WBA世界ライト級タイトルマッチ」(2008年5月19日・ディファ有明)
王者:ホセ・アルファロ(ニカラグア)●TKO3回2分8秒○挑戦者7位:小堀佑介(角海老宝石)

覚悟を示すかの如く銘打たれた“KAMIKAZE”のキャッチフレーズ。小堀佑介の衝撃の戴冠劇で,もっとも心打たれたのは陣営そして挑戦者自身が勝利を信じて疑わず小細工なしの勇気あるボクシングを貫き通したことでした。

倒され,倒し返す壮絶な打撃戦。ボクシングの神髄が凝縮されたような8分8秒の中で,挑戦者のボクシングは一瞬たりともブレることがなかった。3ラウンドのダウンシーン。王者が放った左ジャブに右ストレートを合わせ,即,左フックを返す。迷うことなく振り抜かれたこの一撃で王者は崩れました。勝負を決めたのは初回から挑戦者が一貫して続けてきた攻撃でした。
20勝中18KOを誇る強打の王者・アルファロとは噛み合うと判断して,世界レベルの選手との対戦経験がないまま,一階級上げての世界挑戦を唐突に強行。不利を囁かれるのは当然でした。
被弾のリスクは百も承知。小堀は脚を使わず,自らが得意とする短い距離での打ち合いに王者を付き合わせることで可能性を見出した。アルファロのことをよく研究しており,パンチの打ち抜きが長いが故に,打ち終わりにガードが甘くなる点を徹底して狙った。開始直後から王者の左パンチに対しては右ストレートを合わせ,右には左フックを返す。ひとつ間違うと,自らが沈んでしまう危険な作戦。現に2ラウンドには左フックを先に当てられてダメージを負い,右ストレートでコーナーまで飛ばされるとスタンディング・カウントが入る。しかし再開後も小堀は前に出て,真っ向から打ち返すことを止めなかった。カウンターを打ち続ける勇気を失わなかった。

56年前の5月19日は,後楽園球場で故・白井義男氏が世界フライ級王者ダド・マリノ(米国)を判定で破り日本初の世界王者になった日。敗戦後の日本に勇気と希望をもたらした日。それから56年。「ボクシングの日」に,神風は吹きました。有明の夜に,勇気の象徴であるベルトが輝きました。
by the_leaping_hare | 2008-05-22 03:26 | Box
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