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山猿

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WPB7 日本の誇り,危険なサウスポー

e0042386_4173464.jpg「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(2008年10月16日・国立代々木第一体育館)
王者:長谷川穂積(真正)○TKO2回2分41秒●挑戦者2位:アレハンドロ・バルデス(メキシコ)

紙一重のスリリングな攻防を最高峰の世界タイトルマッチに求める観客には,物足りなさすら覚えたほど王者の圧倒的なまでの強さだけが光った試合でした。二試合連続の2回TKO勝ち。被弾すらほとんどない圧勝劇を平然と演じてみせる王者の底知れぬ凄みに言葉がありません。

果たしてバルデスがお粗末な挑戦者だったか。長谷川のこれまでの7度の防衛戦の中でも最も危険なチャレンジャーだったのではないかと思います。それは何も王者自身が過剰なまでに苦手意識を抱いていたサウスポーだったからというわけではありません。173センチの長身,178センチの恵まれたリーチ,小顔。スピードはなくとも,メキシカン特有のリズムを持つ。瞬間的なスピードで優位に立ちながらも,相手のペースに巻き込まれて顔面を大きく腫らし,血まみれの判定決着となったヘナロ・ガルシア(メキシコ)とのV3戦のような展開になるのではと懸念していました。

長谷川がサウスポーと対戦するのはプロキャリアにおいて二度目。04年10月30日,両国国技館での鳥海純(ワタナベ)との世界挑戦者決定戦以来のこと。おれはその試合で,初めて長谷川を見たのですが,そのボクシングセンスに驚愕を覚えました。圧倒的なスピード,文句のつけようのないバランスの良さ,勝負どころで迷いなく繰り出す連打の回転とそれを躊躇わない勇気。衝撃的といっていいほどでした。本人はこの試合の5回に左アッパーを打ちにいった際に食った左カウンターからサウスポーへの苦手意識を覚えたようですが,そのようなミステイクよりも長谷川穂積というボクサーの可能性だけが見えた試合だったと認識しています。
世界戦でのキャリアを重ねる上で,当時の小刻みな動き(特に上体)が消え,相手の出方を見切ったかのように無駄のない動きから放たれる高速カウンターで勝負するスタイルへ変移があるものの,そのスタイリッシュなボクシングは根本的に変わらず,進化を重ねています。

公開スパーを含めた調整段階では左×左ということから右リードの差し合いで優位に立ちたいという意図が感じられましたが,初回にバルデスのリーチ,右の打ち分けの巧みさを体感して,それを早々と諦めたように思えます。打ち抜きから元の体勢に戻すまでに少々タイムラグのあるバルデスの動きを見切り,右ジャブから左まで打たせておいて,打ち終わりに左ストレートのカウンターを持っていく。瞬時に右フックを返す,つまりは右構えの選手と戦う時と変わりないボクシングを長谷川は展開していました。
2回1分15秒過ぎ,バルデスが左フックを打って前傾姿勢になったところに左アッパーを入れてダメージを負わせる。攻め急がず,かといってチャンスを見逃すのでもなく,左ストレートの打ち下ろしで追撃すると,ジャスト2分,左を重ねてダウンを奪う。挑戦者は打たれ脆かったですが,軽量級では滅多に見られないテンプルへのパンチで吹っ飛んでしまいました。
再開後,まったく隙のない連打を見舞って勝負あり。ストップの瞬間,挑戦者がパンチを繰り出していたため,「ストップが早過ぎる」との声もあるようですが,足元もふらつき,目線の泳ぎ方を見ていれば妥当なストップだったといえるでしょう。

次戦で戦う指名挑戦者のブシ・マリンガ(南アフリカ)はそれほど怖い選手でない。今回でサウスポーへの苦手意識もかなり消えたであろう長谷川がこの先,どこまで強くなるのか想像つかないほどになっています。当分,負けることはないでしょう。

前座カードでは,所用で目を離している隙に注目のカルロス・クアドロス(メキシコ)の試合が終わっていた。高校三冠の岩佐亮佑(セレス)は初めて見ましたが,まるで惹かれるものがなかった。普通に器用なサウスポーという印象以外残っていません。腰痛で本調子ではなかったとはいえ,プロで戦うにはあまりに線が細すぎます。

前回の「WPB6」長谷川&バレロのダブルタイトル戦が早期KO決着に終わったが故,視聴率が7・7パーセントと致命的な数字を記録したにもかかわらず,今回もゴールデン生中継に拘った日テレを褒めておく。保険としてタイソン×ダグラス戦を用意していたことも評価したい。だけど,タイソンはダグラス戦が日本初上陸じゃないからな<途中でテロップ変わったけど
でも,瞬間最高視聴率を粟生がマークするとは思わなかったよ。
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by the_leaping_hare | 2008-10-31 05:29 | Box
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