ブログトップ

山猿

cdghare.exblog.jp

Only Time

e0042386_20484981.jpg「WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ」(2009年1月3日・パシフィコ横浜)
王者:西岡利晃(帝拳)○TKO12回57秒●同級7位:ヘナロ・ガルシア(メキシコ)

ほぼパーフェクト。“Poblanito”ガルシアに対する長谷川穂積の勝利を「圧勝」というなら西岡の勝利は「完勝」だ。長谷川戦があったからこそここまでガルシア対策が可能だったことは確かだが,再三ロープを背負って打ち合い両目からの出血に塗れた長谷川よりも遥かにうまくガルシアをコントロールした。当時に比べてガルシアが落ちているということも否定できないが,見事な初防衛だった。細かいこと言おうにも,二度目のダウンからフィニッシュまでに時間がかかり過ぎたことや最終的にカットしてしまったことくらいしか指摘する部分はない。

典型的なブルファイターのガルシアは指名挑戦者として06年11月13日に日本武道館で行われた長谷川のV3戦の相手として来日。4回と8回にダウンを奪われ,0−3の判定負けに終わったが,旺盛な前進を止めず,(ほとんどバッティングによるものだが)両目上を22針縫う裂傷を長谷川に負わせた。翌07年7月7日,コネチカット州ブリッジポートで元IBF世界Sフライ級王者のルイス・ペレス(ニカラグア)と空位のIBF世界バンタム級王座を賭けて争うが,2回に左アッパーでダウンを奪われ,7回にも左フックを浴びてダウン。7回1分39秒TKOで連敗。タフネスを売りとするこのタイプの選手は一度痛烈なKO負けを喫すると一気に落ちるものだが,同年12月14日,チワワ州シウダー・フアレスでの再起戦では地元のホープであるミゲル・ローマン(メキシコ)に完勝するなどまだまだ健在であるところを見せつけている。

西岡としては絶対に負けられないプレッシャーに包まれた初防衛戦だった。網膜剥離を負っているとはいえ引退の意思を表明していないイスラエル・バスケス(メキシコ)という超一流の王者が君臨するこのタイトルにおいて,“政治力”なしには生じ得なかった暫定王座戦を強行し,そのまま“正規王者”に昇格。イスバスは現在「名誉王者」なる訳のわからない地位にある。しかも指名試合は先延ばしにして7位のガルシアを選択挑戦者として迎えた。怖いというほどではないが一定のパフォーマンスを見せないことには撃退できない相手,ましてや一階級下の長谷川が下している相手となれば,負けてしまえば立場はない。

えー,何故だか理由がわかりませんが,テレ東の中継では西岡戦の後に小堀の試合が放送されましたが,会場ではこの試合がメイン。今回の興行主は帝拳です。
笑ったのがガルシアの入場。テレビではカットされたが,Enyaの「Only Time」で出てきた。会場での反応は極めて薄かったけど,おれは笑ったね。断言してもいいが,ガルシア本人の選曲ではないね。テレ東のマニアックなスタッフが用意したのだろう。もちろん長谷川穂積を意識しているのだが,これほどエンヤが似合わん選手もいなかろう。さすがに原曲では重苦しすぎるとの判断だったのか,(おそらく)リミックスではありましたが。ちなみに西岡は戴冠時と同じくU2の「DIiscotheque」で入場。

フッカーとストレートパンチャーという違いこそあれ,ガルシアは前回の暫定王座決定戦で対戦したナパーポンと被る部分も少なくない。ローテンポながら終盤まで変わらぬリズムで直線的な前進とアタックを止めないこと,少々の被弾は厭わずそれに耐え得るタフネスを持つところなどは重なる。ナパーポン戦の終盤,脚を止めての打ち合いでは優勢と言い難かった西岡がガルシアの突進を食い止めることができるのか一抹の不安はあった。
だが西岡は実にうまく戦った。後ろに下がるのではなくサイドに動き,ロープを背負わず,右腕を伸ばして掌でガルシアの頭の位置をコントロールしてバッティングを回避した。コンビネーションの最後にセットしたパンチ,たとえば左ストレートを省いてでも無駄な衝突を避け,序盤を無傷で乗り切る。
もちろんポイントは支配,その上で4回には左アッパーを合わせてダウンを奪う。ガルシアは長谷川戦でも4回に同じような左アッパーでダウンを喫しているが,右を打つ際に右脚が大きく前に出て両脚が揃うような状態に一時的になる欠点がある。しかし頭を大きく下げて前進してくるため,ストレートパンチは意外と当て難い。そこでアッパーの出番なのだが,プレッシャーを受けながら的確に合わせることは容易ではない。長谷川や西岡だからこそ平然と為せる術である。ただ,このダウンはバランスを崩したようなもので,それほどダメージは残らない。

一方的な展開で進んだ9回,ブレイク後の一瞬の隙に“伝家の宝刀”左ストレートを西岡が炸裂させ,後方に吹っ飛ばすように二度目のダウンを奪う。再開後,西岡が仕留めに出てカットを負うわけだが,ガルシアが脅威的な粘りで凌ぐ。そのまま大差の判定決着かと思われた12回,左アッパーでチャンスを掴んだ西岡が迷うことなく,左アッパーを連打。顎を跳ね上げられたガルシアが力なく後退するところでブルース・マクタビッシュ主審(比国)が試合を止めた。

V2戦は同級2位で元WBO世界バンタム級王者のジョニー・ゴンサレス(メキシコ)との指名試合が決定的。07年8月11日,カリフォルニア州サクラメントで,ジョニゴンを一発で沈めたジェリー・ペニャロサ(比国)のカウンターの左ボディショットを西岡に重ねることが不可能なことであろうか。勝算は間違いなくある。
[PR]
by the_leaping_hare | 2009-01-10 23:13 | Box
<< コロナビール Kamikaze2009 >>