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山猿

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e0042386_14563268.jpg「WBA世界ウェルター級タイトルマッチ」(2009年1月24日・ステイプルズセンター)
王者:アントニオ・マルガリート(メキシコ)●TKO9回43秒○同級5位:シェーン・モズリー(米国)

リングサイドにはアーノルド・シュワルツェネッガーにシルベスタ・スタローン。レイカーズの本拠地・ステイプルズセンターに2万820人の観客を集めたビッグファイトでは信じられないようなシーンが待っていました。

ミゲール・コット(プエルトリコ)を粉砕して名実ともにウェルター級最強となったマルガリートが37歳のモズリーに敗れるということは,元三階級王者の過去の実績を振り返れば想像できないことではない。ただ,その結末に導くことが困難だったのには両者の現況に勢いの差がありすぎたからだ。
ワンサイドで迎えた8回,残り10秒を切ったところでモズリーの左フックがマルガリートの顔面を完璧に捕らえる。動きが止まりながらも倒れないマルガリートに右連打が叩き込まれる。両脚の力を失った王者が前方に崩れるシーンには人類の限界を見た気がした。その後,立ち上がったマルガリートにも,続行を許可したラウル・カイズ主審にも,9回に送り出したマルガリート陣営にも心底驚いたのだが。
結局,43秒余計に乱打に晒されマルガリートは陥落。敗戦の意外性でいえばフェリックス・トリニダード(プエルトリコ)がバーナード・ホプキンス(米国)に屈した01年9月29日,MSGでの三団体統一ミドル級戦に似たものがあり,マルガリートがダウンをしたという衝撃度でいえばフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)がフランキー・ランドール(米国)のワンツーで後方に倒れた94年5月7日,MGMグランドでのWBC世界Jウェルター級戦に近いものがあった。
スピードで明確なアドバンテージのあるモズリーは初回に荒々しく仕掛けることで乱打戦を主戦場とするマルガリートのペースを乱すことに成功すると,この回終盤には右ボディのカウンターを入れて主導権を握る。以後,速い左ジャブを的確に当てながら,距離の詰まる左フックよりもオーバーハンド気味の右ストレートをカウンターで多用する。被弾覚悟で近づいてくるマルガリートに対してショートレンジでは巧みなクリンチで凌ぐ。ハンドスピードの速さ,射程距離の長さで自らのパンチだけが当たる距離で強振を繰り返し,一方的な展開に持ち込んだ。
この試合でもマルガリートのタフネスは驚異的だったが,その最大の武器を晒しながら見出そうとした突破口にはついに辿り着かなかった。逆転という可能性がほとんど消えた時点で,モズリーは左フックをようやく繰り出し,勝負を決める。“Sugar”というニックネームには程遠い華麗さの欠片もない残虐なボクシングで勝利をもぎ取った。

ただ,これでモズリーがウェルター級最強かと問われれば,そう簡単には言い切れない。この試合ではスピード差が勝負を分けた。しかし,例えばコットであれ,モズリーよりは速くなくともマルガリートほど遅くない選手と対峙した時,モズリーの勝利はこの試合のパフォーマンスをもってしても確証できない。相性というファクターがボクシングに及ぼす影響の大きさを改めて実感する一戦でもあった。
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by the_leaping_hare | 2009-01-30 22:27 | Box
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