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山猿

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“SUPREMACY”至高のボクシング

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「WBA/WBO世界ライト級タイトルマッチ」(2009年2月28日@トヨタセンター)
元二階級王者:ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)○TKO9回2分40秒●元三団体統一ライト級王者:ファン・ディアス(米国)

気迫迸る打ち合い、勝者の技巧、敗者の意地、フィニッシュシーンの鮮やかさに、力尽きた敗者に漂う哀愁。実力者同士が勝利を信じて自らのボクシングスタイルを貫き通した美しい戦い。まさに至高の一戦でした。翌々日にTBSで放送された不愉快な中継を見ただけでボクシングを断ずる前に、どうかこの試合を見てほしい。早くも今年度ベストバウト有力候補。

当初、IBOタイトル戦になるはずが、直前に三団体統一王者のネート・キャンベル(米国)が計量失格して王座剥奪されたことも重なり、WBAとWBOの王座も賭けられることになった。しかし小堀佑介(角海老宝石)からWBA王座を奪ったパウルス・モーゼス(ナミビア)の存在はどうなった?
試合はディアスの地元・ヒューストンの大箱での開催。グローブはディアスがエバーラスト、マルケスがレイジェスを使用。

7回までは一進一退の攻防。異なる特長を持つ両者がそれぞれ自らの持ち味を押し出したスタイルで戦った。ディアスは強いプレスをかけながら回転の速い左右連打をノンストップで繰り出すことでマルケスのカウンターを封じようとする。時に、接近するとみせかけて距離のある状態から力を込めた左フックを叩き込み、序盤を有利に戦った。ロープ際まで追い込まれるマルケスも防戦一方となることなくシャープな左フックを返す。この試合の流れは最後まで変わらず、勝敗を決したのはその精度の差だった。

現役最高のアッパーの使い手でもあるマルケス兄の美しい左アッパーが冴え渡った。連打の中に必ず組み込まれるこのパンチがテキサスが誇る“Baby Bull”の突進力を確実に奪った。クラウチングに構えて出てくるディアスの左肩越しにコンパクトな右クロスを当てておいて、間髪入れず左アッパーを突き上げる“ファイター殺し”のコンボ以外にも、左フック、右アッパーから左アッパーに繋ぎ、顎を正確に捕らえる。9回に二度のダウンを奪ったパンチはともに右だったが、衝撃的なフィニッシュシーンに連なる“仕掛け”は左アッパーが担っていた。
あまりに散らされるパンチにブロッキングが機能しなくなったディアスは、9回2分過ぎに右クロスで効かされ、連打を浴びて前のめりにダウン。立ち上がったところ連打から右アッパーを喰らい、最後は仰向けに痛烈にダウン。ラファエル・ラモス主審はノーカウントで試合を止めた。

マルケスが三階級制覇を達成。ナチュラルなライト級のディアスに体力負けすることもなく、パンチの強さも見せつけた。この選手が35歳ということが信じられない。

セミファイナルではWBA世界フェザー級王者クリス・ジョン(インドネシア)が元WBC米大陸フェザー級王者のリカルド“Rocky”フアレス(米国)を挑戦者に迎えて11度目の防衛戦。ジョンは多彩な角度で打ち出す右パンチをヒットさせ、細かなステップと上体の動きで致命打を喰わないディフェンスで、ペースを支配した。米国進出第一戦としてはインパクトのない試合だったが、これがジョンのボクシングといえばそれまで。しかし判定は何故かドロー。しかも世界戦では珍しいジャッジ全員が114−114というユナニマス・ドロー。ジョンには気の毒な判定だった。五度目の世界挑戦も惜敗に終わったフアレスだが、内容的には明らかな負け。この選手にはシドニー五輪フェザー級決勝からずっと頂点に立てない“負のオーラ”のようなものが見えて仕方ない。
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by the_leaping_hare | 2009-03-06 09:57 | Box
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