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山猿

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A Return Match

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「WBC世界フェザー級タイトルマッチ」(2009年3月12日@後楽園ホール)
王者:オスカル・ラリオス(メキシコ)●判定0−3○同級3位:粟生隆寛(帝拳)

幼少期から憧れ続けてきた緑のベルトをついに掴んだ新王者を祝福したいと思います。序盤から終始主導権を握り、最終回には駄目押しのダウン。KO奪取こそ叶わなかったものの、粟生の完勝です。大号泣の戴冠を微笑ましく思いながらも、5ヶ月間での成長に感心しました。

個人的にはラリオス有利と予想していた。昨年10月、国立代々木での第一戦では4回に右フックを浴びて痛烈なダウンを喫しながらも、後半は試合を完全にコントロールして僅差判定をものにしたメキシコの雄と比較すると、若き挑戦者に足りないものは勝利への執念だと思えた。プロキャリア初の敗北を味わいながらも世界ランクは大きくジャンプアップ、本来禁止されているはずのダイレクトリマッチを可能にするジムのマネジメント力は多くのボクサーが切望しながらも決して得ることのできない“選ばれし者”のみに与えられるものだが、この選手に限れば、最も足りないものを掴む機会を見逃すことにも繋がっているとも感じた。

前回の12ラウンズを経ての“13ラウンド目”。王者は前戦の後半にポイントを連取したアウトボクシングに徹し、初挑戦時の“失策”を悔いる挑戦者はより強いパンチを打ち込む覚悟を決め、5ヶ月越しのラウンドに注いだ。
パンチ力、耐久力、獰猛さ…前回感じ取った全盛期のラリオスを支えていたあらゆるファクターの劣化を、粟生は力に変えていた。ロングレンジでの攻防に長けたラリオスの術中に嵌らず、距離は保ちながらも自らのパンチの届く位置に踏み込み続けた。前戦ほどジャブも貰わない。腰高でややバランスの悪いラリオスに力強い足取りで襲いかかり、押し合いでも負けず、ジャッジにもパワフルな印象を与えた。同じサウスポーのスタイリッシュなボクサー・長谷川穂積とのダブルタイトルマッチだけに、抱える課題があからさまに見えてしまうことは気の毒だが、粟生隆寛の見事な雪辱劇と言っていい。

一見すると、構えや身のこなしなど少々型破りにも思える粟生だが、実際はワンツーを基本とした典型的な“帝拳スタイル”の選手。サウスポーの特性も活かした左カウンターの精度は非凡なものがあり、格下相手には鮮やかなまでに映えるが、これだけでは日本レベルでも倒し切れないこともまた事実。この先、いくらでも成長する才能と可能性を秘めた選手であるから敢えて言いたいが、主武器であるノーモーションの左ストレートを放った後の策のなさ、無自覚に出すワンツーにパンチを合わされるリスクは、世界の舞台では命取りになりかねない。また、耐久力(顔面も腹も)にも不安を覚える。だからこそ、ユリオルキス・ガンボア(キューバ)と初防衛戦をやりたいなどと余計なことは言わなくていい。帝拳グループの庇護を最大限に活かし、一戦ごとに王者として成長していけばいい。

なお、今月7日の後楽園ホールでの開催で地上波定期放送「ダイナミックグローブ」の放送が終了していた日テレでは、今回のダブル世界戦を同局初の世界戦二元中継として放送した。後楽園ホールでのこの試合は完全生中継。ラウンド間に神戸の控室をカットインするなど、WBCバンタム級戦も生放送のように見せようとしていたが、神戸は録画でしたから。日テレは演出力がないのだから余計な小細工は使うんじゃねえよと思う。
次回、同一会場での長谷川とのダブル防衛戦を希望します。
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by the_leaping_hare | 2009-03-14 05:30 | Box
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