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山猿

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カテゴリ:Movie( 43 )

山Pジョー

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「あしたのジョー」(2011年・日本)
原作:高森朝雄、ちばてつや 監督:曽利文彦 脚本:篠﨑絵里子 出演:山下智久、伊勢谷友介、香里奈、香川照之

「あしたのジョー」の実写版など作るべからず、という前提の下、作っちゃったものとしては合格点でした。

頭の悪い脚本は女性目線でよろしくないが、(香里奈を除く)主要キャストの熱演と偉大なる原作の永遠に失せない魅力がボクシング映画としての魂を吹き込んだ。
ジョーと力石の因縁を余計な説明なく際立たせた伊勢谷力石の壮絶な減量、ギャグのような特殊メイクを施した丹下段平を違和感なく成立させた香川照之の力技は申し分ない。そして意外と良かったのが山Pジョー。矢吹丈というには愛嬌が足りないが、眼差しに宿る「陰」がなかなか良い。ボクシングのフォームは少し前傾過ぎるが、しっかり肉体を作り、まさしく入魂の演技だ。
一方で良くないのが香里奈の白木葉子。これはミスキャストというよりは脚本のミス。原作とまったく異なる設定で登場し、演じれば演じるほど本来の白木葉子から乖離していく。葉子に感情移入していくのは原作のラスト、日本武道館でのホセ・メンドーサ戦であって、力石戦後までしか描かれない今回の映画ではキャラ付けする必要はない。原作を捩じ曲げてまで挿入した葉子の幼少時のエピソードはまったく不要。それとも、続編を作る前提なのか?それならそれで、とんでもない方向に進んでしまいそうだが。

ボクシングシーンは原作そのものというか漫画風とでも言おうか。カット割りとスローモーションが多用される。役者の肉体改造も含めてリアリティを強調するのなら、もっと普通にボクシングを見せてほしい。
ただ、全体を通してボクシングマニアとしては不満よりも共感できる部分が多い。グローブも「ウイニング」のクラシックモデルが再現されていたことに安心した。ただ、6オンスにしてはデカ過ぎる。
細かい部分で注文を付ければ、力石戦の会場・後楽園ホール。これは「Think Spot KAWASAKI」でのセット。ここに後楽園ホールを再現したのだが、我々のようなマニアにはやはり聖地・後楽園ホールとは空気が違うことが一瞬にして分かる。なぜ後楽園ホールで撮影できなかったのだろう。さらに控室通路(これは味スタで撮影かな?)も、後楽園とは全然違うので違和感を覚えた。一方で、泪橋と丹下ジムのセットには味がある。

主題歌は人間活動に専念中の宇多田ヒカルさん。なぜかボクシング映画ではインパクトを残すモロ師岡がドヤ街の食堂のおやじ役で出演。夫婦役の西田尚美と好演しています。
ボクシング関係者も多数出演しており、主なところではジョーのデビュー戦の相手・村瀬武夫に元WBA世界Sバンタム級王者・佐藤修こと蓮ハルク。力石が挑む世界ランカー・レオに東洋太平洋&日本Sウェルター級王者・チャーリー太田(八王子中屋)。力石vsレオ戦のレフェリーに元WBA世界Sフライ級王者・飯田覚士氏。ウルフ金串vs矢吹丈戦の解説者に浜田剛史氏といったところ。浜さんが「トリプルクロスカウンター」を真面目に解説するあたりは笑ってしまったのだが、浜さんの存在を知らない観客もかなりいるようで無反応でしたな。

公開初日の朝イチ9時開演の回に観たが、客層は団塊の世代からジャニーズ目当てまで幅広かった。まったく接点のなかった層を「あしたのジョー」と「ボクシング」に向けた功績は少なくとも讃えていいと思う。
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by the_leaping_hare | 2011-02-13 23:59 | Movie

ソーシャル・ネットワーク

「ソーシャル・ネットワーク」(2010年・米国)
監督:デビッド・フィンチャー 脚本:アーロン・ソーキン

デビッド・フィンチャーが「facebook」の創始者マーク・ザッカーバーグを描いた話題作。天才が天才を描いた類の映画だが、フィンチャーの映画なので当然ながら一般的な半生記や記録映画ではない。そして成功者への賛美もない。

次から次に登場する人物と早口で展開される膨大な科白。表立って提示される情報量も相当なものだが、その裏側を想像させることに主眼を置いた巧妙な構成。
例えば、ハーバード大の学長室でのシーン。閉ざされた特殊空間でのほんの僅かな会話に“世界的ルール”を示してしまう荒業。好き嫌いは別にせよ、有無を言わせず物語に惹き込む手法と説得力には抗えない。
おれは「facebook」など利用したこともないし、登場人物は総じて好感を持てないタイプばかりだが、実に魅力的な映画だと思った。早くも今年度ベスト候補。

2003年秋、ハーバード大学に始まる「facebook」の誕生と発展、そして数々のトラブルに至る一連の流れが描かれる。主人公のザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)、友人エドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)、富豪の家に生まれ後の五輪選手でもある双子ウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマー、2役)の3視点に、時間軸を交錯させる。
おもしろいのはザッカーバーグの内面は描かれず、感情的な視点はエドゥアルドに傾くというところ。観客でも理解できそうな一般人のエドゥアルド(といってもハーバードの学生だが)の目を通すことで、主人公の異才ぶり、異常性が浮かんでくる。

冒頭、主人公とエリカ様で繰り広げられる丁々発止のトーク。この時点からフィンチャー特有の妙な説得力は存分に発揮され、主人公が共感を得難い人物であることの説明も終わる。
「大学名」、「ファイナルクラブ」を持ち出すことで示される選民意識と上昇志向。物語が進むにつれてこれらのキーワードに「交際相手」、「登録者数」、「資産」といったものが加わっていくが、「持つ者」と「持たざる者」の境界線は消えることなく、よりはっきりしたものになっていく。

映画の末尾。「facebook」は現在も拡大し、主要な登場人物も存命する。だからどこで区切りを付けるか、どう終わらせるかということで映画そのものが大きく変わってくるが、過去の作品でもラストでカマし続けてきたフィンチャーは今回もやってくれます。一貫して描いてきた「アンチヒーローの物語」が急転する瞬間。そこで流れてくるのはビートルズの「Baby You're a Rich Man」。見事です。
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by the_leaping_hare | 2011-01-27 06:52 | Movie

悪人

「悪人」(2010年・日本)
監督:李相日 原作:吉田修一 脚本:吉田修一、李相日 出演:妻夫木聡、深津絵里

原作未読で観たのですが、重くて見応えのある映画でした。
舞台となる福岡、佐賀、長崎の距離感がいい。博多、久留米、佐賀、長崎の関連性とそこで生活する人間の序列。地方都市のどうにもならない閉塞感が絶妙に描かれている。点在する街を繋ぐのは電車ではなく、スカイラインGTRに三瀬峠に呼子のいか。一見、日本のどこにでもありそうな風景ながら、登場人物の抱く可能性と諦観は九州のこの地域特有のリアリティがある。
社会の中心から外れた登場人物に、現代日本の閉塞感を重ねる。登場人物の境遇、殺人や逃亡といったテーマは、李相日監督の初期作品「BORDER LINE」を思い起こさせる。

通える距離なのに久留米の実家を出て博多にある会社の寮に住む保険外交員。長崎の漁村で祖父母の介護をしながら暮らす解体工。生まれ故郷の佐賀から一歩も出ることのない生活を当然と受け入れてきた紳士服のフタタの女性店員。愛情を注いで育てた一人娘を無惨に殺された久留米の床屋の親父。実家が由布院の旅館で福岡の私大に通うボンボン。
三瀬峠での殺人事件を通じて交錯する登場人物に完全な「悪人」はいなくても、誰もが「悪人」である側面を見せる。ある者は自らの枠組から抜け出そうとして「悪人」になり、ある者は長年かけて築いた自らの枠組を壊された瞬間に「悪人」となる。これは特殊な物語ではなく、日常の出来事ということ。

少々長いのが難点。
深津絵里がモントリオールで主演女優賞を獲ったことで話題になったが、妻夫木と満島ひかりは同等以上に評価されていい好演だと思った。
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by the_leaping_hare | 2010-10-08 23:59 | Movie

ハナミズキ

「ハナミズキ」(2010年・日本)
監督:土井裕泰 脚本:吉田紀子

TBS映画なのでそういうものかもしれませんが、思っていた以上につまらない映画でした。
一青窈(慶應SFC卒)の「ハナミズキ」をモチーフに10年に及ぶラブストーリーを描く。と、やりたいことははっきりしているのだが、演出以上に脚本がダメで結局のところ、テーマはぼやけてしまった。おれなんか「ああ、やっと終わったか」とさっさと席を立ってしまったのでエンディングの「ハナミズキ」を聴くのを忘れてしまったよ。
まあ、こういう緩い話はテレビドラマにはぴったりですね。1話ごとにひとつエピソードを交えて終盤にちょっとしたヤマ場をつくる。それを全10話なら10回繰り返すというもの。この映画はいわば連ドラのダイジェスト版というわけで、先の読める都合の良いエピソードの羅列で深みがない。さらにニューヨークやカナダなど海外ロケまで敢行したものだからあれもこれもとエピソードを盛り込み過ぎて上映時間2時間超。さすがにだるい。

♪君と好きな人が 百年続きますように♪
指定校推薦での早稲田大学合格を目指す北海道は釧路の高校に通う優等生(新垣結衣)と先祖代々漁師の水産高生(生田斗真)が出会い恋に落ちる高校3年時(96年)から10年に渡るふたりの愛を描く。

97年頃の早稲田が舞台とかいうのでこの映画を観ようと思ったのだけど、このストーリーなら別に早稲田である必要はないね。大学内で撮影も行われているが、現在の早稲田キャンパスは西早稲田キャンパスという名称だった97年当時に存在していなかった建物が目立ち過ぎるためロングショットは使えず、大隈銅像を背景にしたシーンばかり出てきた。あと、どうでもいいことですが、ガッキーの下宿は東中野でした。まあ、携帯電話が普及していなかった頃はそれはそれで良い時代でしたね。

登場人物が全員善良な人物(強いて言えばガッキーが少々計算高い)なので受け入れ難い嫌悪感を覚えることはないのだが、物語の展開上、邪魔になると死ぬか無一文にして放り出してしまうため、そういう意味では映画として少々質が悪い。もっとも、これが「この夏No.1泣けるラブストーリー」というキャッチフレーズに繋がるのであれば、まだ納得できるのだが、そういうわけでもない。というか、これだけ型通りなら最後は主人公のどちらかが死ぬと思ったが。

ガッキーはやはりかわいい。こういう映画でも最後まで観てしまうほどかわいい。今回はキスシーンまでがんばりましたが、“脱ぎ”はなし。当然か。もっと言えば、実年齢の役より制服姿が良いですな。
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by the_leaping_hare | 2010-10-07 07:05 | Movie

あの伝説が北京で甦る!

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「ベスト・キッド」(2010年・米国)
監督:ハラルド・ズワルド 出演:ジェイデン・スミス、ジャッキー・チェン

ジョン・ギルバート・アビルドセン監督の1984年の同タイトルの作品のリメイク。
舞台がカリフォルニアから北京になり、ミヤギ先生は日本人から中国人になり、主人公が黒人のチビとなり、ヒロインが美少女ではなくなり、空手がカンフーになってしまったが、オリジナルのスピリッツは一応受け継がれている。突っ込みどころは多々あるが、ウィル・スミスが息子を主演させることを前提に製作したことを考えれば、大方片付く。余程ウィル・スミスの息子が嫌いでない限り、その楽しみ方は異なるが、オリジナルを見ている人、見ていない人、どちらも楽しめる。
オリジナルでパット・モリタ(薬師寺保栄、戸高秀樹を世界王者に導いたマック・クリハラの従兄弟)が演じたお師匠様にジャッキー・チェン。アクションシーンはほとんどないが、ジャッキー・チェンもこういう役を演じる時代になったのだなと思うとなかなか感慨深い。
北京が舞台だから紫禁城や万里の長城などがストーリーと無関係に出てくる。加えてオリジナルを尊重するあまりヒロインとの恋物語が中途半端に描かれるため、上映時間が140分と不要に長過ぎるところがよろしくない。
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by the_leaping_hare | 2010-08-29 23:39 | Movie

元町映画館

明日8月21日に神戸・元町の元町商店街内に単館系映画館「元町映画館」がオープンするとのことです。
神戸出身の医師が私財を投入して開館ということですが、今の時代、シネコンではない映画館の持つ意味は少なくないと思います。オープニングは舒淇の「狙った恋の落とし方。」。近いうちに訪れてみようと思います。
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by the_leaping_hare | 2010-08-20 14:43 | Movie

クロッシング

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「クロッシング」(2008年・韓国)
監督:金泰均
主演:車仁杓

脱北者100人以上を取材して作られた韓国映画。韓国映画だからこそ、描かれる北朝鮮の凄惨な生活環境にもリアリティがあり、韓国は必要以上に豊かな国となる。登場人物の北朝鮮国家への直接的な批判はないものの、家族への思いの叫びがこの映画の持つメッセージとなる。
かの欠陥国家の問題を痛烈に衝いた作品だけに「南北融和」を掲げた盧武鉉前政権下では大っぴらに製作、上映できなかった。ただ、08年の作品が投げかけた問題提起は過去のものではない。

かつて国を代表するサッカー選手だった主人公は炭坑夫となり、貧しいながらも妻、息子と慎ましく暮らしていた。しかし妻が結核となり、自国では手に入らない薬を求めて、単身命懸けで国境を越える。脱北という要素を絡めて家族の幸せだけを求めた善良な一家に降りかかる悲劇を描く。そこに一切の救いはない。
国境を越えてみて初めて知るところは、やさしい雨の降り注ぐ北朝鮮の貧村で、家族3人、穏やかに暮らしていた頃が一番幸せだったということ。足掻いても抜け出せない国家に縛られた悲劇がある。

離れ離れになった父子を繋いだのものは自国にはあり得ない携帯電話。その第一声がとにかく心に響いた。
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by the_leaping_hare | 2010-08-14 12:08 | Movie

ボックス!

「ボックス!」(2010年・日本)
監督:李闘士男 脚本:鈴木謙一 原作:百田尚樹
出演:市原隼人、高良健吾
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市原隼人って亀田の試合のリングアナとかやってる奴だろ。好きになれんよねえ…なんて思ってたら亀田興毅が出演していた。台詞あり、クレジットあり。ちょっと笑ってしまった。

「探偵ナイトスクープ」などを手がける放送作家による原作本は刊行当時に知り合いから貰った。ボクシング小説ということで読み始めたところ、おもしろくて一気に読んだ。印象としては松本大洋の名作「ピンポン」の高校ボクシング版。
つまり、映画でいえば、ペコが市原隼人、スマイルが高良健吾、バタフライジョーが筧利夫となる。大阪の高校を舞台にした小説「BOX!」が何より良かったのは、著者の高校ボクシングへの愛が感じられることだ。

さて、映画化するにあたって、何が一番大切か。
言うまでもない。ボクシング映画なのでボクシングシーンがかっこいいかどうかに尽きる(実写版「あしたのジョー」は大いに不安)。
その点では市原は健闘している。「キッズ・リターン」の安藤政信の域には及ばなくとも最低限のリアリティと形式美を築いている。だからこそ試合のシーンでの不要なカット割りやスローモーションの多用が鬱陶しい。あと、クライマックスでのフィニッシュブローはふざけているのか。あんなパンチじゃボクサーは倒れんよ。
一方の高良のシャドウも悪くない。ただ、問題は高良が演じる人物は物語の始まりと終わりで外見も内面も激変していないといけないのにそれがまったくない。特別弱くも見えなければ、底知れぬ強さも伝わってこない。

もちろん、TBSの映画なので少なからず事実の捩じ曲げがある。「秋の選抜大会」とか高校ボクシングのカレンダーが無茶苦茶に書き変えられていたり、グローブやヘッドギアが公式のものではないなど細かい点を挙げたらキリがない。原作が大切にしている世界を平気で歪めるところがいつものことながら気にくわない。
あと、これは間違いではないのだけど、今年からアマチュアボクシングの主要大会ではフェザー級という階級は廃止となった。

原作通りに登場人物を並べてみたところで、残念ながら女性キャストは活きていない。女子マネ役の谷村美月は大阪出身ということもあり物語に溶け込んでいてうまいのだが、闘病のエピソードはほとんどマイナスにしか機能していない。ボクシング部顧問でもある女性教師役の香椎由宇は原作では重要な役だったが、映画においては存在意義なし。唯一、主人公の母親、お好み焼き店の女将を演じた宝生舞だけが大阪のおばはん役がやけにハマっていた。

いろいろと文句を連ねてみましたが、それでもこの映画は嫌いではありません。もう一度観に行くことはなくても、一度は楽しめた。それはおれがボクシングファンだからであり、そして「BOX!」にはボクシングファンとは異なる層にも訴えるものがあると思うからだ。
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by the_leaping_hare | 2010-05-29 05:35 | Movie

アバター

「アバター」(2009年・米国)
監督・脚本:ジェームス・キャメロン
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今更ながらようやく観た。
視聴環境は109シネマズHAT神戸のシアター10。3D(XPAND)上映。

舞台は西暦2154年、地球から約4・4光年離れた惑星パンドラ。
先住民族VS侵略者、自然崇拝VS機械文明。自身の幻影を別空間に投影させる「分身」という要素こそ伴うものの、「風の谷のナウシカ」や「もののけ姫」に比べれば、ストーリー自体は目新しいものでもなく、政治的でもなければ、深くもない。ただ、これはハリウッド超大作であり、ジェームス・キャメロンの映画なのだ。人類も異星人も皆殺し、最新兵器も未開の大自然も破壊し尽くす様は徹底していてある意味、爽快。

話題作なのでDVDの発売を待って見てみようなどという考えは捨てて、絶対に3D上映で観るべき映画。設定が設定だけに3Dメガネをかけて非日常空間に視覚だけでも浸ることで、森を駆け抜ける、大空を飛ぶ、青い皮膚のナヴィを魅力的に思えるなど“共有”できる非現実世界がある。間違いなく作られるであろう続編も期待できる。
ただ、3Dメガネの鬱陶しさは想像通り。今後、3D作品の乱発はご容赦願いたい。IMAX版も観たかったけど、さすがに箕面まで行くほど暇ではない。
3D映画の画期的な作品であり、3D映画を作る上でのひとつの基準を築いた作品として「アバター」の持つ意味は大きい。
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by the_leaping_hare | 2010-04-25 21:01 | Movie

The Hurt Locker

「ハート・ロッカー」(2008年・米国)
監督:キャスリン・ビグロー 脚本:マーク・ボール
第82回アカデミー賞作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞受賞
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一般に、物語が進むにつれて緊張感を失っていく映画というのは凡作に少なくない。
だが、命を懸けて爆弾処理作業を行う緊張感たっぷりの冒頭を最高潮に、徐々に張りつめたものを感じさせなくなっていく今作においてはそれは当てはまらない。

登場人物同様、観る者の「死」への感覚を麻痺させる。
街そのものが戦場と化している2004年のバグダッド。米軍爆発物処理班の物語というおよそ非日常的な現実を舞台に、ジェレミー・レナー演じるジェームス二等軍曹率いる部隊は「死」と隣合わせの街で、一歩間違えば「死」に繋がる作業を進んでこなし、「死」への感覚を狂わせていく。主に部隊の3兵士を通じて“まともな”人間が生きていくために「死」を意識し、「死」への恐怖を覚え、「死」を怖がらなくなる様を描く。3人とも「死」への感覚が麻痺していくことは共通しながらも、それぞれの経験、置かれた立場によりその感度は異なる。そこには人間がある意味壊れていく過程が怖いくらいに絶妙に映し出されている。

同じく観る者にも映画の進行とともに「死」への“慣れ”が出てくる。
キャスリン・ビグローが伝えようとしたものは戦場の非現実的な世界ではなく、そこを経験した人間の姿だ。イラクにおけるアメリカの行為を正当化する作品だという批判もあるだろうが、それも含めてオスカーに相応しい作品だと思った。
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by the_leaping_hare | 2010-03-21 05:44 | Movie