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山猿

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世界戦地上波なし

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「WBA世界Sフライ級タイトルマッチ」(2009年4月11日@大阪府立体育会館第一競技場)
王者:名城信男(六島)○TKO8回1分22秒●挑戦者9位:冨山浩之介(ワタナベ)

試合自体は激闘そのもの。世界戦で二度ダウンを喫しながら逆転KO勝ちした日本選手がいたか記憶を辿ってみたけど思いつかなかった。もしかして初めてのこと?逆に二度ダウンを奪いながら敗れた選手となると平仲伸章(ファン・マルティン・コッジ戦)、坂本博之(ヒルベルノ・セラノ戦)というのが浮かんできたが。

ボクシングには関心はないが、たまたまテレビをつけたらこの試合をやっていたという感じで見たのであれば、ダウン応酬の激闘に惹き込まれたかもしれない。
しかし悲しいかな、この試合は、輸入ボクサーを除く日本選手の世界王座防衛戦としては史上初となる地上波放送なしの試合。当日20時からのスカイAでの録画放送にチャンネルを合わせるのはボクシングファン以外いない。そしてファンの目からすれば、その精神力だけは賞賛できても、エドゥアルド・ガルシア(メキシコ)戦以降下がり続けている名城のボクサーとしての評価に更なる追い打ちをかける内容だ。

開始40秒過ぎ、王者は打ち合いの中で冨山の左フックを不用意に浴びてダウンを喫する。そこまでの動きからは不調とは感じられなかった。初回から倒してやろうという良く言えば相手を飲んだ雰囲気、悪く言えば相手を嘗めたスタイルでプレッシャーをかける。この選手の魅力でもあるが、リーチに見合わぬ長い距離での左フック、右ストレートを少々強引にでも持っていき、打ち合いに臨んだところで、インサイドからコンパクトに放たれた左フックをカウンターで合わされ痛恨のダウン。長身、腰高で一発のパンチには重みの感じられない冨山だが、左ジャブの数は多く、右ストレートを捨てた直後に返す左フックはなかなか当て勘に優れていた。

人生初のダウンを初回に喫し、ダメージを負いながらも、このラウンドの残り2分以上を致命的な追撃を避けた名城は冷静だった。一方、スタミナに不安を抱えながらも勝負にいかなかった冨山。経験の差が勝敗を分けた。ダメージの抜けた3回からは一発の威力で勝る名城が単発のパンチの交換で優位に立ち、徐々に重い左ジャブも出るようになった。

ポイントでも初回の失点を完全に挽回した6回、再び打ち合いの中で回転負けした名城が左フックをカウンターされ、後方に吹っ飛ぶようにダウン。しかし冨山は決めきれず、7回は再び名城のペースに戻る。
そして迎えた8回。中間距離から名城のワンツーの右をまともに浴びた冨山は大きく腰を落とし、グロッキーに陥る。一気に勝負に出た名城の集中打を止める術もなく、倒れ込んだダウンのカウント中もダメージの回復は叶わず、再開後、連打に晒されレフェリーストップ。名城の執念、冨山の経験不足が重なって稀に見る逆転劇が生じた。

試合後、冨山は「ボクシングに向いていない」と引退を示唆したらしいが、これで辞めるのは惜しい。勝った名城はこのままではV2戦は相当に厳しい戦いとなるだろう。

おれは女子ボクシングには興味がないので、セミファイナルはパス。その前の「日本ミドル級タイトルマッチ」は日本最重量級とは思えない迫力のないサウスポー同士の戦いで、両者とも右、左と体を流しながら二連打を打つだけの10ラウンズ。前に出る積極性で上回った挑戦者・淵上誠(八王子中屋)が若干有利かと思ったが、王者・鈴木哲也(進光)がスプリットの判定勝ち。

世間的にはまったく注目のない興行だったが、アリーナは大方埋まっていた。ボクシングの公式観衆というのは、実数を出すプロ野球やJリーグなどとは違って主催者が適当に発表するものだが、この日の3895人という発表は比較的まともな数字。府立第一は普通に座席設定をすれば約6000人というキャパを誇るけど、この日の設定は4500人程度。つまりアリーナの後方に椅子を置かず満員に見せるような設定になっていた。それでいてスタンドの空席具合を考えれば妥当なところだろう。
試合自体は盛り上がったが、地上波なしという悪しき前例をつくった今回のタイトルマッチには今でも賛同できない。スポンサーもないようで、キャンバス、コーナーポストにはまったく広告がなかった。しかし、よみうりテレビも当日16時からの1時間枠に「愛の修羅バラ(再放送)」など流すのであれば「ボクシングやれよ!」と言いたくなる。
by the_leaping_hare | 2009-04-15 05:29 | Box
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